イメージ画像

支払不能とは

破産をするポイントは支払不能

個人であろうと会社であろうと、破産手続きを行なうためにはそれだけの経済的に困窮した原因がなければなりません。
自己破産手続きの開始が認められるには、支払不能であるかどうかが重要な判断材料となります。
支払不能とは、言葉のとおり借金が返済できなくなる状態のことをいい、とくに個人の場合は、申請者に支払不能のおそれがある場合に限って自己破産が認められています。

支払不能の基準とは

支払不能のおそれがあると判断される基準とは、主に以下のような条件にあてはまる場合です。
・債務の弁済のための財産を有しない場合
・客観的にみて将来的にも債務の弁済がむずかしい場合
・すでに債務の弁済が滞っている場合

自己破産の可否

自己破産の可否を判断するなら法律相談広場のQ&Aが参考になります。
現役バリバリの弁護士・司法書士が実名で自己破産について回答しています。
これから自己破産を考えている方、自分が自己破産出来るかどうか、確認してみて下さい。
http://horitu-soudan.jp/psdn_list.php?pccat=1&pccat_detail=3

支払不能と債務超過のちがい

支払不能とは、債務者が債務を弁済する能力がないことをいい、債務超過とは、財産より負債のほうが多いことをいう。
個人は支払不能のみが破産原因となるが、法人は支払不能と債務超過が破産原因となる。
ただ一概に債務が弁済できないといっても、その状況はさまざまです。
たとえば、現在は借金の返済に困っていたとしても、これから働いて稼ぐことができる人であれば、将来的には返済が可能だと判断され、破産手続きは行なわれない可能性もあります。
逆に現在はなんとか返済ができている状態であったとしても、すぐにでも仕事をやめなければならない状況があり、その後の就職も絶望的である場合は、自己破産が認められることがあります。
このように、支払不能については、申し立てた本人の財産や収入状況、健康状態などによって大きく異なるため、確固たる基準が存在するわけではありません。
あくまで個々の状況に照らし合わせた結果、債務の弁済が不可能であるかどうかは、裁判所の判断に委ねられることになります。
一応の目安としては債務者の収入や財産・信用などを考慮し、仮に分割払いにしたとしても、おおむね3年~5年程度で借金を完済できないと思われる場合には支払不能と判断されます。
また、負債総額が毎月の収入の20倍を超えるようなら、やはり支払不能といえます。
他方、会社などの法人の場合の支払不能の判断は、さらにやっかいな面があります。
現時点では経営が思わしくないとしても、会社はそれ自体が収益の手段です。
会社員などは近い将来、飛躍的に収入が伸びることが予想しずらいのに対して、会社はなんらかのカンフル剤があれば飛躍的に収益が好転することもありえます。
経営者の手腕や従業員のモチベーションの高さ、支援する金融機関の存在やその会社の事業自体の魅力や将来性など、個人の場合とは異なる要素があります。
本当に「死に体」の会社なのかどうかはなかなか判断がむずかしいというわけです。

支払不能になるか・ならないか

自宅の建築と独立開業にあたり抱えた借金の総額が6,100万円(うち住宅ローンが1,200万円)になる自営業のAさんの場合(現在税込年収1.000万円,手取り800万円。年間696万円の返済)。

支払不能ではありませんが、そのおそれがあるといえます。
住宅ローンを除くと負債は5,000万円未満におさまるので、小規模個人再生を利用すれば、年間の返済額を約500万円程度まで圧縮することができます。

事業資金として500万円の負債があるところに、連帯保証人となっていた友人が自己破産したためにさらに1,000万円の負債を抱え込むことになったBさんの場合(現在税込年収800万円、手取り650万円、年間435万円の返済)

支払不能ではありませんが、そのおそれはあります。
小規模個人再生を希望しても、年収が高いので、返済額を約250万円くらいまでにしなければ、債権者の同意を得るのはむずかしいでしょう。

飲食店を開業する際に.住居兼店舗を建築するために5.000万円を借り入れ、現在、負債総額が8,000万円に膨らんだCさんの場合。

一時は順調だった商売も、いつしか不調に転じ、毎月の利益が70万円、返済額も50万円以上になってしまったので、支払不能です。
自己破産を検討しましょう。

月の売上200万円で手取り50万円程度の自営業のDさんの場合(負債総額880万円)

この程度でしたら、支払不能とまではいえませんので、小規模個人再生で毎月の返済額を15万円弱に圧縮できる可能性はあります。
自己破産は最後に検討すればよいでしょう。

支払チェックと借金整理法の選択

◆債務総額が月々の収入の20倍以上になる
◆3年程度で返済を終了させるのは不可能である
◆返済していくには新たに高金利の債務を負担しなければならない
◆全財産を売却し返済に充当しても、また債権者との交渉で返済方法を緩和してもらったとしても返済できない
◆親や親戚からの援助は無理
◆連帯保証人はいない
◆債権者が多く(10社以上)、返済計画に反対している債権者がいる
◆債権者はそう多くなく(10社以内)、返済計画についての合意が得られそうな場合
◆負債も多いうえに債権者が非協力的

自己破産以外の無理な整理案を立てて、返済が途中で挫折して結局破産するのなら、そのお金を最初から自己破産の諸費用にあてたほうが得策です。
なお、裁判所での支払不能の認定は、資産・収入と借金額のバランスによりケース・バイ・ケースで、1つの目安にすぎません。

個人の破産にはどんな制限があるのか

資格制限がある

自己破産をした場合、借金を帳消しにしてもらえるというメリットがある分、破産者にはさまざまな資格制限が課せられています。
自己破産のデメリットとしては主に以下のようなものが挙げられます。

①財産、財産管理の資格を失う
自己破産した場合は一定以上の財産をもつことはできなくなります。
とくに土地や建物などの不動産は手放さなければなりません。
また財産の処分権も破産管財人の手へと渡ることになります(同時廃止を除く)。

②破産者名簿に登録される
破産者は免責が決定するまでの間、破産者名簿に登録されることになります。
破産者名簿は管轄地の役所で保管されていますが、これは非公開文書となっているため、破産者名簿が原因で破産の事実が一般に知られることはありません。

③官報に記載される
破産者となると、官報に破産者の名前や住所、破産日などが記載されることになります。
ただ、官報は政府が発行している機関誌で、普通の書店においてあることは少ないこともあり、一般の人が読む機会はあまりありません。

④破産管財人・債権者への説明義務
破産者は、破産管財人や債権者から求めがあった場合には、自己の破産に至った理由や負債・資産状況等を説明する義務があります。
この説明義務に違反すると、免責不許可事由とされ、免責が認められなくなることがあります。

⑤引越し、旅行の制限
破産者が引越しをする場合は、裁判所の許可が必要になります。
また、海外旅行などの長期旅行にも許可が必要で、自由に旅行することはできなくなります。

⑥自己破産することの制限
過去に一度免責が確定した場合、その後7年間は自己破産することができません。

⑦郵便など通信物の制限
破産管財人がついた場合、郵便等の通信物は破産管財人のもとへ配達されます。
破産管財人は、その通信物を開封してなかを確認することもできます。
逆に破産者は、たとえ自分宛の通信物であっても、自由にみることはできなくなります。

⑧法律上の資格制限
破産者は免責が決定されるまでの間、弁護士、公認会計士、司法書士、税理士など、一定の職業につくことはできません。
もしこの職についている人が破産者となった場合には、資格を失うことになります。
また、自己破産をすると、免責が決定されるまでの間は、後見人や遺言執行者などになれません。

⑨ブラックリストヘの登録
ブラックリストとは、民間の信用情報機関が集める個人の信用情報のことです。
自己破産した場合、約7年ほどの間は破産事実が事故情報としてブラックリストに記載されます。
そのため名前がブラックリストから消えるまでは、新たにクレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすることはできなくなります。
ブラックリストは、その情報機関に加盟する金融機関などの企業のみ閲覧することができ、一般に公開されることはありません。

自己破産による法律上の制限

公法上の資格制限

(1)資格を喪失する主な職種
●弁護士
●公認会計士
●税理士
●弁理士
●公証人
●司法書士
●社会保険労務士
●不動産鑑定士
●人事院人事官
●検察審査員
●土地家屋調査士
●宅地建物取引業者
●公正取引委員会の委員長および委員
●商品取引所会員・役員
●住宅金融支援機構役員
●証券取引外務員
●生命保険募集員および損害保険代理店
●警備業者および警備員
●有価証券投資顧問業者
●国家公安委員会委員
●質屋
●風俗営業者および風俗営業所の管理者
●教育委員会委員
●日本中央競馬会の役員

私法上の資格制限

(1)民法上の制限
●後見人
●成年後見監督人
●保佐人
●遺言執行者

(2)会社法上の制限
●株式会社の取締役・監査役については退任事由
●合名会社および合資会社の社員については退社事由

破産管財人がつく場合の自由の制限

●財産の管理処分権を失う
●勝手に転居したり旅行に行けない
●郵便物は破産管財人に届けられ、開封されることもある
●財産隠しやウソをつくと身柄を拘束される
●裁判所や債権者集会で破産までの経緯を説明する義務がある

自己破産のポイント

◆一口に倒産といってもいろいろな場合がある。
 倒産=破産というわけではない。
 倒産した会社が再建され復活することもある。
◆倒産すれば多くの関係者が影響を受ける。
 家族や会社の役員や幹部社員、協力してくれそうな債権者には事前に事情を話すなどして、関係者への波及効果を最小限にとどめるような努力も大切である。
◆倒産処理手続きには、事業の再建をめざす再建型手続きと、事業を消滅させる清算型手続きがある。
 再建型手続きには、任意整理、特定調停、民事再生、個人民事再生、会社更生がある。
 清算型手続きには、任意整理、破産、清算がある。
◆自己破産は借金整理の切り札。破産は人生の終わりではない。
 むしろ新しい人生への再出発である。
◆経営者個人が会社の連帯保証人になっている場合には、経営者個人も自己破産の申立てを同時に行なうこともある。
◆事業主は常日頃から商業帳簿をしっかりつけていないと、いざというとき破産もできない。
◆事業主の破産は、ほとんどすべて管財事件になる。また、会社は破産すればやがては消滅する。
◆破産すれば、居住制限や公私にわたる資格制限など各種のデメリットがあることは確かだが、それも免責を受けるまでのことである。
◆支払不能は倒産処理手続きのキーワード。
 債務者の財産・職業・信用などを総合的に判断してケース・バイ・ケースで判定される。
 支払不能とされなければ破産をすることはできない。

このページの先頭へ